「人を動かす」寸評その他

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

最近、色々悩みがあって、本書を手に取りました。日本語の題は「人を動かす」ですが、原題をそのまま訳すと「友人を勝ち取り、そして、人に影響を与える方法」です。エッセンスだけを書き出せば、単純で非常に少ないですが、色々な人の逸話が紹介されていて、飽きの来ない面白い本でした。恥ずかしい話しですが、私はお世辞にも、ヒューマンスキルの高い人間とは言えません。特に最近は、マネジメント的な仕事をするようになって、悩みが増えました。期待するパフォーマンスを発揮してくれない若者を、どうすれば奮起させられるか、ということが関心の中心です。
本書の第一章の3原則、

  • 非難、批判をしない。苦情を言わない。
  • 誠実で、率直な評価を与える。
  • 強い欲求を起こさせる。

がそのエッセンスだと思います。でも、どうすれば良いのか分からない、というのが正直な気持ちです。有能だと認める若者や、よく知らない相手には、実践することは出来ます。期待通りでない、と感じた若者に対して、どうすれば良いのか分からないのです。「非難、批判をしない。」ということそのものは、これまでも実践してきました。モチベーションを落とすだろう、と想像するからです。ところが、モチベーションを落としはしないものの、決して奮起はしてくれないのです。「これで良い。」と満足しているのがありありと分かり、今以上の仕事をしてくれません。ですから、ことあるごとに、本人にとって新しいこと、知らなかったことを話題に出し、刺激するようにしてきました。隣にいる新人君にも同じように接してきました。効果があったのは、新人君だけで、私が期待している彼には響いてくれませんでした。ただ、私の反省でもあり、どうしても難しいことは、彼本人に重要感を与え、誉めてあげることです。恥ずかしいことですが、誉めるポイントを見つけられないのです。何を頼んでも、必ずダメな仕事をするのです。私の最近の悩みは全て、彼をどうするか、です。悩んで夜も寝られないことすらあるのです。

  • ソフトウェアエンジニアリングについての知識が乏しい。
  • 論理的に説明できない。
  • ドキュメントを書く基礎的国語力がない。
  • 工夫して効率的に仕事を出来ない。無駄なことに時間をかける。
  • 自分で考えず、他人の指示のみを求める。
  • プロジェクトルールを守らない。
  • ホウレンソウが出来ない。
  • 計画・確認・改善をしない。
  • 調べ物が下手。マニュアルを読まずに、出所の怪しいサイトを頼りにする。
  • 分からないことがあっても質問せず、勝手な解釈をする。
  • 指示系統を無視して、勝手に他のメンバーに誤った指示を出す。

新人なら、言って聞かせます。知らないことなら、教えてあげるしかないからです。でも、彼は、30近い妻子ある男です。そんな男を捕まえて、いちいち新人教育をするべきではない、と思っていたのです。
色々な原因が絡まってこうなっているのでしょうが、ほとんどの原因は一つのことにあるような気がしています。言葉にしろといわれると、見つかりません。敢えて言うと、マインドなのです。実はこのブログを書いたきっかけも彼のマインドに対する不満なのです。上に上げたのは、結果であって、それを一つ一つ指摘したところで、原因が変らない限り、いたちごっこです。私は考え違いをしているのでしょうか。私が指摘したところで本人の意識が変らないことには、何も好転しないことは、この本を読まなくても分かります。どうすれば、彼が強い欲求を持ってくれるようになるのでしょうか。私が原因なのでしょう。人間ですから、人それぞれ違います。でも、上手く仕事をしたい、という気持ちはみな一緒なのじゃないか、と思います。彼にそれが無いような気がしてならないのです。本当に分かりません。