クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?寸評

クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

久々に更新です。「一年の計」の後、色々と忙しく中々更新できませんでした。その間にも何冊か(ITアーキテクト x コンサルタント 未来を築くキャリアパスの歩き方相手の潜在意識から説き伏せる! ビジネス・コールドリーディング)読みましたが、ブログを更新するタイミングを逸してしまい、今日を迎えました。この本は、以前に読んだザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何かの著者の続編でもあり、また、CD‐ROM付 目標を突破する 実践プロジェクトマネジメントのネタ本でもあるということで、ずっと読みたいと思っていました。読み物として大変面白いので、通勤の電車の中だけで読んだにもかかわらず、数日で読み終えました。TOCをプロジェクトマネジメントに応用する方法を分かり易く、頭に刷り込んでくれます。プロジェクトバッファ、リソースバッファの考え方には、私のような職業の人間は、非常に勇気付けられます。実は、ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何かを読み終えた時から、TOCをコンピュータシステム開発の分野、というより、プロジェクトマネジメントの分野に応用できないものかと考えていました。ただ、どうしても、プロジェクトにおける制約条件は何か?、という点が分からず、もやもやしていました。この本を読んで、それはプロジェクトの完了期日であるということが明示されたので、頭の中がすっきりした感じです。そのおかげで、CD‐ROM付 目標を突破する 実践プロジェクトマネジメントで、「親方バッファ」(クリティカルチェーンでは、プロジェクトバッファ)が、プロジェクトの後ろの工程に取られている理由も納得がいきました。守りたい制約条件の前に、バッファを置く、という考え方自体は、TOCで理解していましたから。また、プロジェクトにおけるクリティカルパスが、TOCでいう「鎖の長さ」にあたるのだ、という指摘も、私の頭の中をすっきりさせてくれました。個人的見解ですが、プロジェクトマネジメントのスループット向上のためには、ガントチャートが有害であるという結論を持つに到りました。ガントチャートには、完了期日を記さなければならないので、それだけで、この本の説く方法論に矛盾します。これまでは、PERT図を使うことに抵抗があったのですが、今後は、こちらに切り替えてみようと思います。さらに、もやもやを解消してくれた点としては、もう二つあります。一つは、CD‐ROM付 目標を突破する 実践プロジェクトマネジメントでは、50/50の原則の根拠が示されていませんでしたが、その論理的根拠を統計分布曲線を用いて説明してくれた点です。もう一つは、プライムコントラクターではない会社の場合でも、納期短縮をするメリットがあるのだ、という点を示してくれた点です。何れも、TOCを実践する勇気を奮い立たせてくれる内容ばかりで、ワクワクしました。ただ、問題は、この本で言うコスト・ワールドに染まっている人たちを相手に、報告をしなければならない点です。私には、登場人物たちのように、上司や顧客を説得する自信がありません。マイルストーンを示さない限り、納得してくれなさそうです。また、稼働率固執している人ばかりなので、その点も非常に困難です。説得せずに、TOCを実践するには、見せ掛けの報告書を作成しなければならないのでしょうか?それも馬鹿馬鹿しい話しです。悩ましいところです。